「親から相続した実家が空き家になっているが、何から手をつければいいのかわからない」「売却で損をしたり、後からトラブルになったりするのは避けたい」と悩んでいませんか?

空き家の売却は、一般的な居住用不動産の売却とは異なる特有の手続きや注意点があります。

これらを事前に把握しておくことで、売却をスムーズに進めるだけでなく、数百万円単位の節税につながることもあります。

本記事では、空き家の売却前後に確認すべき注意点について紹介します。

これから売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次

なぜ放置は危険?空き家を早めに売却すべき理由

なぜ放置は危険?空き家を早めに売却すべき理由のイメージ

空き家の売却と聞くと、「手続きが面倒そう」というイメージを持つ方も多いでしょう。

しかし、活用予定のない空き家を所有しているなら、できるだけ早めに売却することをおすすめします。

放置し続けると、経済的な負担が増えるだけでなく、予期せぬ法的リスク近隣トラブルを招く恐れがあるからです。

ここでは、国が売却を推奨している背景と、放置による具体的なデメリットを解説します。

維持管理の手間とコストが膨らみ続ける

空き家は、管理をせずに放置すると人が住んでいる時よりも劣化が早く進みます。

定期的な換気や掃除、庭木の剪定などをおろそかにすると、部屋にカビが生えたり、水道管が錆びたり、雑草が近隣まで伸びたりしてしまいます。

管理を維持するには、現地に行く時間や交通費はもちろん、光熱費の基本料金修繕費用もかかり続けます。

また、建物が建っている限り、毎年固定資産税都市計画税の支払いも必要です。

放置すればするほど、活用していない資産にお金が消えていくことになります。

「相続登記の義務化」による罰則リスクがある

空き家を所有している方にとって、最も注意すべきなのが「相続登記の義務化」です。
2024年4月1日から法律が施行されており、現在は不動産を相続したことを知った日から3年以内に名義変更(相続登記)を行うことが義務付けられました。

正当な理由なく放置した場合、10万円以下の過料(罰金)が科される可能性があります。
また、登記を放置している間に他の親族に不幸があると、権利関係が複雑になり、いざ売却したいときに手続きが困難になるリスクもあります。
国がこの制度を導入したことからもわかるとおり、空き家の放置は社会的に非常に深刻な課題となっています。

参考:「相続登記義務化のお知らせ」-東京法務局

近隣トラブルや犯罪に巻き込まれるリスクがある

空き家を放置していると、空き巣などの犯罪近隣住民とのトラブルのリスクも高まります。

人の出入りがない家は不審者が侵入しやすく、放火や不法投棄の標的になることも少なくありません。

さらに、劣化が進んだ家が台風や地震で倒壊したり、屋根材が飛散したりして近隣住宅や通行に危害を加えてしまった場合、空き家の所有者が損害賠償責任を負うことになります。

深刻な被害が発生すれば、賠償額が数千万円単位になることもあり得るため、管理が難しい場合は早めの売却が最善の回避策となります。

空き家売却を進める前の3つの注意点

空き家売却を進める前の3つの注意点のイメージ

空き家を売却する前には、スムーズな取引を阻害するハードルがないか確認する必要があります。

特に下記の3点は、売買契約を結ぶための前提条件となるため、必ず事前にチェックしておきましょう。

不動産の名義人を確認し「相続登記」を済ませる

不動産を売却できるのは、原則として登記簿上の名義人本人のみです。

亡くなった親の名義のままでは、売買契約を結ぶことができません。

まずは「登記事項証明書」などの書類で現在の名義を確認しましょう。

もし名義が故人のままだった場合は、下記の手順で名義変更が必要です。

相続登記の流れのイメージ 「戸籍を取得し法定相続人を確定させる」→「遺産分割協議を行う」→「必要書類を準備する(戸籍謄本・印鑑証明書など)」→「法務局で登記手続きを申請する」

これらの手続きは自分で行うことも可能ですが、2024年の義務化以降、手続きの確実性がより求められるようになっています。

手間をかけずスムーズに進めたい場合は、司法書士に依頼するのがベストです。

相続登記のより詳しい流れについては、下記の記事をご参考ください。

住宅ローンの残債確認と抵当権抹消手続きをする

空き家を売却する際は、必ず抵当権を抹消しなければなりません。

抵当権とは、ローンを借りた際に金融機関が不動産を担保に設定した権利です。

ローンを完済していても、法務局での抹消手続きを自ら行わない限り、登記上には権利が残り続けます。

抵当権がついたままの不動産を購入しようとする人はいないため、売却決定までに必ず手続きを行いましょう。

境界確定や告知事項の有無を整理する

意外と見落としがちなのが、隣地との「境界」です。
古い物件の場合、境界杭がなかったり、図面と現況が異なっていたりすることがあります。
境界が曖昧なままでは、買主がローンを組めなかったり、引き渡し後に融資を受けられないことが多く、トラブルのもとになるため、測量が必要か不動産会社に相談しましょう。

また、雨漏りやシロアリ被害、過去に事件・事故があった場合は、すべて正直に伝える「告知義務」があります。
これらを整理しておくことが、後述する売却後の責任問題を回避するポイントです。

そのまま?更地?空き家の売却手法を選ぶ際の注意点

そのまま?更地?空き家の売却手法を選ぶ際の注意点のイメージ HOW TOと書かれた本が机に置いてある

空き家の売却手法を考えることは、売却の成功を大きく左右します。

主な手法には「仲介」「買取」がありますが、ここではそれぞれの特徴と売却する際に必ず知っておくべき注意点を詳しく解説します。

【売却手法の違い】

項目 仲介 買取
売却価格 相場に近い価格 相場の7割程度の価格
売却期間 3~6ヵ月以上 最短数週間~1ヵ月
契約不適合責任 あり なし
仲介手数料 かかる かからない

築年数が浅く立地がいいなら「仲介」

空き家の築年数が20年以内で、建物の状態が良好であれば、そのまま「中古住宅」として仲介売却するのが一般的です。
土地の価値に建物の価値を上乗せして売れるため、より高い価格での売却が期待できます。

最近では、自分好みにリフォームしたい層の需要もあり、少し古い家でもそのまま売れるケースが増えています。
安易にリフォームを施すと、買主の好みと合わずにかえって敬遠されることもあるため、修繕の必要性は不動産会社の担当者と相談して決めましょう。

早期処分・ボロボロの家なら「買取」

「家がボロボロで仲介では売れそうにない」「遠方なので何度も立ち会うのが面倒」という場合は、買取業者に売却を依頼することをおすすめします。

仲介では買い手が見つかるまで3~6ヵ月以上かかることもありますが、買取なら最短数週間~1ヵ月程度で現金化が可能です。
価格は仲介の7割程度になる傾向がありますが、仲介手数料が不要で、後述する「契約不適合責任」も免除されることが多いという大きなメリットがあります。

【重要】古い家を更地にする際は固定資産税に注意

「更地にしたほうが売れやすい」と考える方も多いですが、解体には注意が必要です。
建物を取り壊して更地にすると、土地にかかっていた「住宅用地の特例(※)」が適用外となります。
その結果、翌年からの土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がるリスクがあります。

解体費用をかけた上に税金まで高くなっては本末転倒です。
解体すべきかどうかは、地域の需要や売却のしやすさを踏まえ、慎重に判断しましょう。

※住宅用地の特例とは

マイホームなどの住宅が建っている土地にかかる固定資産税・都市計画税を軽減する特例措置です。

 

・小規模住宅用地(200平方メートル以下)
固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1に軽減されます。


・一般住宅用地(200平方メートル超)

固定資産税が3分の1、都市計画税が3分の2に軽減されます。

 

注意点:建物を解体して住宅がなくなると、翌年からこの特例は適用されなくなり、税負担が大幅に増えます。

空き家売却の「後」に困らないための注意点

空き家売却の「後」に困らないための注意点のイメージ 戸建てのモニュメントを持った女性が首をかしげている

売却が終わった後も、税金の申告や、物件に対する法的な責任が残ります。

ここでは、引き渡しが完了した後に発生する「思わぬトラブル」を避けるための重要なポイントを解説します。

「契約不適合責任」のリスクを把握する

空き家を売却した後、契約書に記載されていなかった雨漏りやシロアリ被害、建物の構造上の欠陥が見つかった場合、売主が修理費などを負担する「契約不適合責任」に問われる可能性があります。

買主から契約解除や損害賠償を求められないよう、売却前にインスペクション(建物状況調査)を行ったり、契約書に「不具合がある箇所」を明記したりして、誠実に対処することが大切です。

不安な場合は、前述の「買取」を選択して責任を免除してもらうのも一つの手です。

「3,000万円特別控除」の期限を守る

相続した空き家を売却して利益が出た場合、一定要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」を利用できます。

この特例には「相続日から起算して3年を経過する日の年の12月31日までに売却する」という厳しい期限があります。

もし特例の適用を希望しているのであれば、必ずこの期日を守ってください。

また、「旧耐震基準(1981年5月31日以前)に建築された家であること」や「売却代金が1億円以下であること」などの条件もあるため、事前に適用可能か確認しましょう。

参考:「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)について」-国土交通省

利益が出たら翌年の確定申告を忘れない

不動産を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合は、必ず翌年の2~3月に確定申告を行いましょう。

申告を忘れると「無申告加算税」「延滞税」といったペナルティが科される可能性があります。

また、利益が出なかった場合でも、一定要件を満たせば、確定申告をすることで他の所得と損益通算して節税できるケースがあります。

さらに、前述した「3,000万円特別控除」を受けるためにも確定申告は必須ですので、忘れずに行いましょう。

空き家を売却する際の流れや諸費用

空き家を売却する際の流れや費用のイメージ

空き家をスムーズに売却する際は、注意点だけでなく「手続きの全体像」と「必要なお金」を事前に把握しておくことが大切です。

ここでは、空き家売却における基本的な流れと、発生する主な費用についてご紹介します。

空き家を売却する際の基本的な流れ

空き家を売却する際は、一般的に下記の5つのステップで進められます。

空き家を売却する流れのイメージ 「査定の依頼」→「媒介契約の締結」→「売却活動の開始」→「売買契約の締結」→「引き渡し・決済」

仲介業者を経由して一般の買主を探す場合、基本的な流れは通常の不動産売却と同じです。

ただし、空き家の場合は建物の老朽化や立地条件によって、買主が見つかるまで半年以上の長期にわたる可能性があることは覚悟しておきましょう。

一方、買取業者に直接売却する場合は、上記の「売却活動」が省略されるため、最短数週間から1ヵ月程度で決済まで完了できます。

期限がある場合や手間を省きたい場合は、買取も有力な選択肢となります。

空き家売却のより詳しい流れについては、下記の記事でも詳しく解説しています。

より深く知りたい方は、あわせて参考にしてください。

空き家を売却する際に発生する費用

空き家の売却には、売却代金が手元に入る一方で、下記のような諸費用が発生します。

費用 費用の概要
仲介手数料 不動産会社に仲介を依頼し、売買が成立した際に支払う成功報酬です。
2024年7月の法改正により、800万円以下の安価な空き家については、媒介時の報酬上限が33万円(税込)となりました。
これにより、以前よりも不動産会社が空き家売却のサポートに注力しやすい環境が整っています。
印紙税 売買契約書に収入印紙を貼り付けて納税します。
契約金額によって異なりますが、一般的な空き家の取引では1万~2万円程度が目安です。
登録免許税(抵当権抹消登記費用) 建物や土地に設定されている「抵当権」を外す際に必要な税金です。
不動産1つにつき1,000円かかるため、土地と建物で2,000円が必要です。
自分で行うこともできますが、手続きが複雑なため司法書士に依頼するのが一般的です。
その場合は、別途1万円〜2万円程度の司法書士報酬が発生します。
譲渡所得税 空き家を売却して利益が出た場合に課される税金です。
所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」の方が、5年以内の「短期譲渡所得」よりも税率が低く設定されています。
ただし、条件を満たせば「3,000万円特別控除」などで大幅に節税できるため、最新の要件を確認しておきましょう。
解体費用 家を壊して更地で引き渡す場合に発生します。
建物の構造や大きさによりますが、木造住宅であれば坪単価3万〜5万円程度、総額で100万〜200万円程度が相場となります。

これらの費用の詳細や計算方法については、下記の記事で解説しています。

スムーズに空き家を売却するための3つのポイント

スムーズに空き家を売却するための3つのポイントのイメージ

納得のいく条件で、かつスムーズに空き家を手放すためには、事前の準備以外にも知っておくべきことがあります。
ここからは、効率的に売却するための具体的な3つのポイントをご紹介します。

1.複数の不動産会社に査定を依頼する

空き家の査定価格は、会社によって数百万円単位で差が出ることが珍しくありません。

1社だけの言い値を信じるのではなく、必ず複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。

複数の結果を比較することで、適正な相場観が身につくだけでなく、その地域の空き家取引に慣れている「優秀な担当者」を見極めることもできます。

また、効率よく不動産会社を比較したい場合は、一括査定サービスを活用するのが最も手軽でおすすめです。

当サイトが提供する「イエイ」は、1,700社の優良企業と提携しており、最大6社の査定価格を簡単に比較できます。

信頼できるパートナーを見つけるためにも、ぜひ活用してみてください。

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2.スケジュールに余裕を持たせる

空き家売却は通常の不動産より時間がかかる傾向があります。

急いで売ろうとすると足元を見られ、安く買い叩かれるリスクがあるため、少なくとも半年程度の余裕を持っておきましょう。

また、実家の整理は思い出が詰まっている分、心理的に大きな負担となります。

親族間で意見が割れることもあるため、早い段階から話し合いを行い、遺品整理なども計画的に進めることが、最終的なスピード売却につながります。

3.売却するタイミングを見計らう

空き家を売却する際は、タイミングを見計らうことも大切です。

どの時期でも売却できる可能性はありますが、効率よく売却したいと考えているのであれば、下記の3つの要因をもとにして売却タイミングを見計らいましょう。

・不動産価格指数
不動産価格指数とは、国土交通省が毎月公表している不動産価格の動向を指数化したデータのことです。
このデータの推移を参考にして、不動産価格が下落傾向にあるなら早めに売却する、上昇傾向なら少し待つなど、市場の波を確認しましょう。
あわせて、「相続から3年以内の売却」で使える税金の特例期限も意識すると、より確実なタイミングがつかめます。
出典:「不動産価格指数」-国土交通省

・空き家の築年数
空き家の築年数も重要な要素です。
建物には使用できる期間(木造で22年、RC造で47年)があり、この期間を過ぎると建物の価値がゼロとみなされやすくなります。
価値がなくなる前に売るのが理想ですが、築年数が古い場合でも「管理不全空き家(※)」に指定されて固定資産税が上がる前に売却に踏み切るのが、損をしないための大きなポイントです。

※管理不全空き家とは

適切な管理が行われていないために、倒壊や衛生面での問題、景観の悪化など、周囲に悪影響を及ぼす恐れがある「特定空家等」と認定される前の段階の空き家を指します。
市区町村から指導や助言の対象となります。
参考:「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施 を図るために必要な指針(ガイドライン)」-国土交通省

・住宅ローンの金利
住宅ローンの金利も売却のタイミングに影響します。
一般的に金利が低い時期は買主がローンを組みやすいため、家を売りやすいタイミングだといえます。
金利が急激に変動する可能性があるため、低金利のうちに売却を進めるのがベストでしょう。

空き家売却にまつわるよくある質問

空き家売却にまつわるよくある質問のイメージ

空き家の売却を行う際によくある質問を3つご紹介します。

これらの疑問点を解消して、安心して空き家の売却を進めていきましょう。

空き家を売却する前に片づけたほうがいいの?

基本的には、荷物を片づけてから売却することをおすすめします。

室内に物が溢れていると買主が内覧した際に生活のイメージが湧きにくく、管理が行き届いていない印象を与えてしまうからです。
ただし、買取業者に依頼する場合は「現状のまま(荷物あり)」で引き取ってくれることも多いため、状況に応じて判断しましょう。

空き家の売却価格を調べることはできるの?

空き家の売却価格の相場は、下記のサイトで調べられます。

・公益財団法人東日本不動産流通機構(REINS TOWER)「REINS Market Information」
・国土交通省「不動産情報ライブラリ
・不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME’Sなど)

これらのサイトで、近隣の似た条件の物件がいくらで売り出されているか確認してみましょう。
ただし、サイトでわかるのはあくまで「売り出し価格」などの参考値です。
空き家の状態や立地条件を反映した「本当の売却価格」を知るためには、一度プロによる査定を受けることが確実な一歩となります。

空き家の売却に関する相談は誰にすればいいの?

売却そのものについては不動産会社が窓口です。

相続登記などの法的な手続きは司法書士弁護士、税金については税理士が専門となります。
一括査定サービスなどを通じて信頼できる不動産会社を見つければ、そこから提携の専門家を紹介してもらえることも多いです。

まとめ|注意点を押さえて後悔のない空き家売却を

空き家売却する際のイメージ

空き家売却を成功させる最大の鍵は、「早めの行動」と「注意点の正しい把握」です。

2024年からの「相続登記の義務化」など、最新の情報を知らないまま放置することは、将来的に大きな損害を招くことになりかねません。
名義確認や費用の把握など、本記事で紹介した注意点を一つずつクリアしていけば、管理が難しい空き家を、価値のある「資産」に変えられます。
何から始めればいいかわからなかった不安も、手順を踏んで進めることで必ず解消できるはずです。

まずは「自分の空き家がいくらで売れるのか?」を知ることが、すべての判断の第一歩です。
不動産一括査定サービスなどを利用して、今の価値を確かめることから始めてみてはいかがでしょうか。

当サイトが提供する不動産一括査定サービス「イエイ」では、1,700社の優良企業の中から最大6社の不動産会社を簡単に比較することができます。
査定価格だけでなく、担当者の対応や人柄を比較することもできるので、安心して売却を進めるためにも、ぜひご活用ください。