この記事でわかること

  • 空き家売却時にかかる費用や税金
  • 空き家売却時にかかる費用や税金を抑えるための特例
  • 空き家売却時に税金や費用を抑えるための注意点

空き家を売却すると、売却益が得られる一方で、譲渡所得税や仲介手数料など、さまざまな税金・費用が発生します。

とはいえ、「実際にどれくらいかかるの?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、空き家を売るときに必要となる税金や費用の内訳をわかりやすく解説します。

さらに、控除制度や特例を活用して、税負担をできるだけ抑える方法についてもご紹介します。

できるだけ費用を抑えて、後悔のない空き家売却をしたい方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

空き家売却の前に知っておきたい基礎知識

空き家の売却前に知っておきたい基礎知識のイメージ画像

空き家を売却する際、「とにかく売ればいい」と考えてしまうのは要注意です。

 実は、どの方法で売るかによって、税金や手元に残る金額が大きく変わります。

空き家の主な売却方法は、次の3つです。

売却方法①不動産仲介業者に依頼する 

不動産仲介業者は、売主と買主の間に入り、売却活動から契約手続きまでをサポートしてくれます。

 市場価格に近い金額で売却できる可能性が高い一方で、仲介手数料がかかる点には注意が必要です。

価格を重視し、できるだけ有利な条件で売却したい方に適した方法といえるでしょう。

売却方法②不動産買取業者に依頼する 

不動産会社が直接物件を買い取る方法です。

仲介手数料がかからず、短期間で売却できますが、売却価格は相場より低くなる傾向があります。

「早く・確実に手放したい人」に向いています。

売却方法③空き家バンクを活用する

空き家バンクとは、自治体が主体となって運営している空き家の紹介・仲介サービスです。

エリアによっては、購入希望者向けの補助金や移住支援策が用意されているケースもあり、成約につながりやすい点が特徴といえます。

特に、地方にある空き家の活用や売却を検討している方に適した選択肢でしょう。

 

空き家売却時にかかる費用と税金

空き家売却時にかかる費用と税金のイメージ

空き家を売却する際に発生するお金は、大きく「費用」 と「 税金」 の2つに分かれます。

人によっては発生しないものもありますが、 事前に全体像を把握しておくことが重要です。

空き家の売却時にかかる費用と税金のイメージ画像

【実際に金額のインパクトが大きいのは?】
多くのケースで最も金額が大きくなりやすいのは「譲渡所得税」と「解体費用」です。

 一方、印紙税や登録免許税は比較的少額で、売却条件によっては発生しないこともあります。

上記で挙げた費用や税金について詳しく解説していきます。
 

売却時にかかる費用

売却時にかかる費用

仲介手数料

不動産仲介会社に売却を依頼して、売買が成立した際に支払う手数料

解体費用

空き家を解体する際に解体業者に支払う費用

仲介手数料

不動産仲介業者を利用して売却が成立した場合に支払う成功報酬です。

 法律で上限が決められており、多くの場合は上限額が請求されます。

売却価格(税別) 仲介手数料の上限
200万円以下 売却価格(税別)×5%+消費税
200万円超~400万円以下 売却価格(税別)×4%+2万円+消費税
400万円超 売却価格(税別)×3%+6万円+消費税

不動産の売却価格が1,000万円の場合の仲介手数料のイメージ画像

解体費用

建物を解体して更地で売却する場合に発生します。

構造別の目安は以下の通りです。

・木造:1坪あたり3〜5万円
・鉄骨造:1坪あたり4〜6万円
・RC造:1坪あたり6〜8万円

費用は依頼する業者によっても異なりますので、複数の業者から見積もりを取得して比較して検討することをおすすめします。

必ずしも「解体=正解」ではないため、事前の判断が重要です。
 

売却時にかかる税金

売却時にかかる税金

譲渡所得税

不動産など資産を売却する際に発生した利益に対して課される税金

印紙税

不動産売買契約書などの課税対象と定められた文書に課される税金

登録免許税

不動産登記をする際に課される税金

譲渡所得税

空き家を売却して利益が出た場合のみ課税される税金です。

利益が出なければ、税金はかかりません。

この譲渡所得税は、所有期間によって税率が異なるので注意が必要です。

所有期間 所得税 住民税 復興特別所得税 合計
短期譲渡所得(5年以下) 30% 9% 0.63% 39.63%
長期譲渡所得(5年超) 15% 5% 0.315% 20.315%

※復興特別所得税は所得税額の2.1%

空き家を相続した場合は、被相続人の所有期間を引き継ぐことができます。

以前の所有期間が5年以上の場合は、相続後の所有が5年以内であっても長期譲渡所得となります。

印紙税

印紙税とは、空き家を売却する際に作成する売買契約書などの課税文書に対して課される税金です。

契約書に記載された売買金額を基準に税額が決まり、金額が大きくなるほど負担も増えていきます。

なお、令和9年3月31日までに作成される契約書については、印紙税の軽減措置が適用されており、通常よりも低い税額が設定されています。

軽減後の税額は、以下のとおりです。

契約金額 通常の税額 軽減時の税額
1万円以下 非課税 非課税
1万~10万円以下 200円 200円 ※軽減措置対象外
10万~50万円以下 400円 200円
50万~100万円以下 1,000円 500円
100万~500万円以下 2,000円 1,000円
500万~1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万~5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万~1億円以下 60,000円 30,000円
1億~5億円以下 100,000円 60,000円
5億~10億円以下 200,000円 160,000円
10億~50億円以下 400,000円 320,000円
50億円以上 600,000円 480,000円

登録免許税

登録免許税とは、不動産登記をする際に課される税金のことです。

不動産を売却できるのは、登記上の所有者本人に限られます。

そのため、相続などによって実際の所有者と登記名義が一致していない場合は、売却前に名義の変更が必要になります。

このように、名義変更する登記手続きを行う際に発生するのが登録免許税です。

税額は、次に紹介する計算方法によって算出されます。

固定資産税評価額のイメージ画像

不動産を所有している際に発生する固定資産税は、この固定資産税評価額によって変動します。

また、相続をした不動産に抵当権が設定されているのであれば、抵当権の抹消が必要です。

抵当権を抹消する際の登録免許税は、不動産1件につき1,000円となります。

空き家売却の税金を抑える主な特例・制度 

空き家売却時にかかる費用や税金を抑えるには?のイメージ

空き家を売却する際に適用できる税金控除の制度をいくつかご紹介します。

上手く活用することで売却時の税負担を減らすことができます。

空き家の3000万円特別控除

①どんな制度か?

相続した空き家を売却し、利益が出た場合には、原則として譲渡所得税がかかる。

しかし一定の条件を満たしていれば、譲渡益から最大3,000万円を差し引ける制度。

②どんな人が対象か?

・建物が昭和56年5月31日以前に建築されていること
・相続開始直前まで、被相続人以外が居住していなかったこと
・相続後に、事業用や賃貸物件として活用していないこと
・相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却していること

※ここでは代表的な要件のみを紹介しています。
適用には他にも複数の条件があるため、詳細は下記の国税庁ホームページをご確認ください。出典:国税庁ホームページ

③この特例で税金はいくら軽くなる?

譲渡益から最大3,000万円を差し引ける

10年超所有軽減税率の特例

①どんな制度か?

売却する年の1月1日時点で、家屋や敷地の所有期間が10年を超えている場合、譲渡所得税が軽減される特例です。

②どんな人が対象か?

・日本国内の自宅(家屋、または家屋と敷地)を売却すること
・売却年の1月1日時点で所有期間が10年超であること
・売却前年・前々年に本特例を利用していないこと
・他のマイホーム特例(買い替え・交換など)を併用していないこと
・親子・夫婦など特別な関係者への売却でないこと

③この特例で税金はいくら軽くなる?

本来なら、所有期間が5年超の場合、税率は20.315%だが、本特例を適用すると、譲渡所得6,000万円以下の部分は14.21%まで下がります。

【注意点】

解体後1年以内に売買契約を結び、かつ、住まなくなった日から3年経過する年の12月末までに売却する必要があります。

取得費加算の特例

①どんな制度か?

相続が開始された日から3年を経過する日までに相続した財産を売却した場合、相続税のうち一部金額を取得費に加算することができる特例。

②どんな人が対象か?

・相続や遺贈により財産を取得した人か
・その財産を取得した人に相続税が課税されているか
・その財産を、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過するまでに譲渡しているか

③この特例で税金はいくら軽くなる?

軽減される税額は一律ではありませんが、目安としては次のとおりです。
・相続税として支払った金額 × 譲渡所得税率分だけ税負担が減る

・譲渡所得税率が約20%(長期譲渡)の場合
  → 相続税を 100万円加算できれば、約20万円の節税

・譲渡所得税率が約39%(短期譲渡)の場合
  → 相続税を 100万円加算できれば、約39万円の節税

【注意点】

・前述した「空き家の3000万円特別控除」と併用することができません。
・加算できる相続税額は、売却した財産に対応する部分に限られます。実際の節税額は、相続税額・譲渡益・税率によって異なります。

空き家の解体補助金制度

①どんな制度か?

空き家を解体して売却する場合、自治体によって解体費用を補助してくれる制度。

空き家の倒壊や犯罪の防止、さらには街の景観保全のために、近年多くの自治体が積極的に補助金制度を導入している。

②どんな人が対象か?③この特例で税金はいくら軽くなる?

解体補助の具体的な要件や金額は自治体によって異なるため、役所の窓口や公式ホームページを確認することをおすすめします。

空き家売却で損をしないための注意点

空き家売却時に税金や費用を抑えるための3つの注意点のイメージ

空き家を売却する際に、できるだけ税金や費用を抑えたいと考えているのであれば、以下の4つの点に注意しましょう。

・特例を利用する前に、要件を満たしているか必ず確認する
・空き家を売却する際はリフォームをしない
・解体したい場合は不用品を自分で処分しておく
・解体して売却が必ずしも正解でないことを知っておく

特例を利用する前に、要件を満たしているか必ず確認する

先ほどご紹介したとおり、空き家の売却時に使える特例には、それぞれ細かな適用要件が設けられています。

そのため、特例を活用する場合は、自分のケースが条件に当てはまっているかを事前にチェックすることが大切です。

なかでも「空き家の3,000万円特別控除」は、適用条件が細かく定められているため注意が必要です。

一つひとつ要件を確認しながら、確実に条件を満たしているかを整理したうえで、特例を上手に活用していきましょう。

空き家を売却する際はリフォームをしない

空き家は綺麗な方が売れやすいと思い、リフォームを検討する方もいますが、リフォーム費用が高額になりやすく、売却価格が相場以上になると売れ残るリスクがあります。

また、購入後に自分好みにリフォームしたい買主も多く、事前のリフォームは必ずしも評価されません。

費用や手間をかけず、スムーズに売却するためにも、基本的にはリフォームせずに売り出すのがおすすめです。

解体したい場合は不用品を自分で処分しておく

空き家を解体して更地にする場合、家財道具や不用品はできるだけ解体工事の前に自分で処分しておくのがおすすめです。

「どうせ解体するなら、家具などの残置物もまとめて処分してもらえばいい」と考える方も多いかもしれません。

しかし、解体工事とあわせて処分される家財は、たとえ家庭ごみとして処分できるものであっても「産業廃棄物」として扱われてしまいます。

産業廃棄物の処分費用は、一般廃棄物に比べて高くなる傾向があるため、結果的に解体費用が割高になるケースも少なくありません。

無駄な出費を抑えるためにも、自分で処分できるものは、解体前にあらかじめ片付けておくと安心です。

解体して売却が必ずしも正解でないことを知っておく 

空き家を売却する際に、解体しないと売れないと思う方もいるかも知れません。

しかし、解体して売却することが必ずしも正解ではないことを知っておきましょう。

なぜなら、空き家を解体すると以下のようなデメリットがあるからです。
デメリット①:土地の固定資産税が6倍になる
デメリット②:解体費用が高額になりやすい

デメリット①:土地の固定資産税が6倍になる

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税は最大6分の1まで軽減されています。

しかし、建物を解体するとこの特例が外れ、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があるのです。

これまで年数万円だった税額が、突然数十万円になるケースも珍しくありません。

売却の目処が立たないまま解体してしまうと、税負担だけが重くのしかかる結果になりかねないため注意が必要です。

デメリット②:解体費用が高額になりやすい 

空き家は解体費用が高額になりやすいです。

一般的な木造住宅でも、1坪あたり3万〜6万円程度が目安とされており、立地条件が悪い場合やアスベスト処理が必要な場合は、さらに高額になることもあります。

想定外の出費を防ぐためにも、事前に複数社から見積もりを取り、内訳まで確認することが欠かせません。

【なぜ解体費用が高額になりやすいのか?】
① 解体・処分費用の高騰
近年は、建設リサイクル法により、解体時の廃材を素材ごとに分別・リサイクルすることが義務付けられており、その分、手間や処理コストが増え、解体費用も上昇。

② アスベスト(石綿)処理が必要になる可能性
2006年以前に建てられた建物では、アスベストが使用されているケースがあり、1㎡あたり1万円〜8万5,000円程度の除去費用がかかる。

③ 残置物(家具・家電)の処分費用
家の中に残っている家具や家電は解体業者に依頼すると産業廃棄物扱いとなり、自分で処分するより割高になる。

④ 建物の構造や地中構造物の影響
傾斜地などで基礎が深い「深基礎」の住宅では、コンクリートの撤去に手間がかかり、費用が高くなる。
また、解体後に地中からコンクリート片や廃材などの地中埋設物が見つかると、追加の撤去費用が発生する。
 

空き家売却にかかる費用や税金のよくある質問

空き家売却にかかる費用や税金のよくある質問のイメージ

空き家売却をする際にかかる費用や税金についてのよくある質問を紹介します。

確定申告は必要なの?

空き家を売却して利益が発生した場合、確定申告が必要です。

確定申告の申告期間は、売却した翌年の2月16日から3月15日までと定められているので、期限内に必ず手続きをおこないましょう。

また、確定申告を怠ると、無申告課税延滞税が科されるリスクがあります。

罰則を避けるためにも忘れずに申告をおこないましょう。

【無申告課税とは?】

確定申告を期限内におこなわなかった場合に発生するペナルティの税金のことです。

課税率は以下の通りです。

  • 納付すべき税額が50万円以下…15%
  • 納付すべき税額が50万円以上300万円以下…20%
  • 納付すべき税額が300万円以上…30%

【延滞税とは?】

確定申告をおこなっても税金を納付しなかった場合、期限を過ぎた日数に応じて課される税金のことを指します。

課税率は以下の通りです。

  • 納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までの翌日…原則年7.3%
  • 納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後…原則年14.6%と「延滞税特例基準割合(※)+7.3%」のいずれか低い方

※「延滞税特例基準割合」とは、各都市の短期貸出金利の平均に年1%を加算した割合であり、毎年11月末までに財務大臣によって公表されます。

この割合は、前年9月から翌年8月までの銀行の短期貸出金利をもとに算出されます。

また、売却によって利益が発生しなかった場合、確定申告をおこなう必要はありません。

ただし、「空き家の3000万円特別控除」などの特例を利用する場合、確定申告が必要ですので、特例を利用する方は忘れずに手続きをおこないましょう。

故人が介護施設に住んでいた場合は空き家の3000万円特別控除は受けられる?

空き家の3000万円特別控除を受けるには、「相続開始の直前に亡くなった人が一人で居住していた」という要件を満たさなくてはなりません。

しかし、亡くなった人が一人で居住せず介護施設などに入居していた場合であっても、以下の要件を満たすことで特別控除を受けられます。

  1. 以下の特定事由に該当しているか
    1. 被相続人が要介護認定や要支援認定を受けている場合
      1. 認知症対応型老人共同生活援助事業がおこなわれる施設への入居または入所
      2. 養護老人ホームへの入居または入所
      3. 特別養護老人ホームへの入居または入所
      4. 軽費老人ホームへの入居または入所
      5. 有料老人ホームへの入居または入所
      6. 介護老人保健施設への入居または入所
      7. 介護医療院の入居または入所
      8. サービス付き高齢者向け住居への入居または入所
    2. 被相続人が障害支援区分の認定を受けていた場合
      1. 障害者支援施設の入居または入所
      2. 共同生活援助をおこなう施設への入居または入所
  2. 以下の要件を満たしているか
    1. 家屋に誰も住まなくなってから相続開始の直前まで、その家屋が引き続き被相続人の物品の保管などに使われていたか
    2. 家屋に誰も住まなくなってから相続開始の直前までの期間、他の人が住んでいないか
    3. 被相続人が上記の施設に入所して相続開始の直前まで主に居住していた場所がその施設か
  3. 空き家の3000万円特別控除の適用要件を満たしているか

これらの要件が満たしていないと特例が適用されないので、利用することを検討している方は事前に確認するようにしてください。

また、ご自身で適用対象か判断が難しい場合は、税理士に相談してみると良いでしょう。

【まとめ】賢く節税しながら空き家を売却しよう!

賢く節税しながら空き家を売却しよう!のイメージ

空き家を売却すると、譲渡所得税などの税金や解体にかかる費用が発生しますが、特例や補助金制度を活用することで節税が可能です。

特例を受ける際には適用要件の確認や確定申告などが必要となるので、多少の手間がかかりますが、それ以上のメリットを得られるのでぜひ積極的に活用しましょう。

また、空き家の売却をする際に税金や費用について悩んだ場合は、信頼できる不動産会社に相談することが有効です。

当サイトが運営する不動産売却査定サービス「イエイ」では、1700社以上の優良業者と提携しており、その中からあなたに最適な不動産会社を見つけることができます。

もちろん、空き家の売却に特化した不動産会社を見つけることもできますので、不動産会社を選ぶ際にはぜひご活用ください。